政策研究大学院大学
公共政策プログラム文化政策コース
National Graduate Institute for Policy Studies
Cultural Policy Concentration
文化政策プログラムのイベント
公開セミナー「文化を巡る政策最前線2016」(第42回)
「コンパクトシティ政策と文化資源:ポートランド、ヴァンクーヴァー、富山の事例をもとに」
世界的に注目が集まる「コンパクトシティ」をめぐっては、日本においても、その実現方策とともに、
どういった結果を招来するかについて、さまざまな観点から議論が続いています。
このセミナーでは、都市に蓄積された文化資源の保全(保存と活用)に着目しながら、具体的な事例をもとに、今後の展開を検討します。
■講 師:松本 忠先生(プロダクトマネジャー、経済協力開発機構(OECD))
■日 時:2016年7月19日(火)18:30-20:00
■会 場:政策研究大学院大学 5階 講義室M
■言 語:日本語
■定 員:60名(無料) 多数ご参加いただきまして、ありがとうございました!
■フライヤーはこちらをご覧下さい
< プロフィール >
1995年東京大学大学院(都市工学)修了、2008年博士(工学)。 1993~94年スウェーデン王立工科大学留学、2002年ニューヨーク 大学公共政策大学院修了。1995年建設省(国土交通省)入省、 2009年より現職。OECDでは都市・住宅・建築政策の専門家として 加盟国・非加盟国向けの政策分析、提言を行っている。 主なプロジェクトに都市と気候変動(2010)、コンパクトシティ政策(2012)、都市のグリーン成長(2013)。
現在はアジア都市の グリーン成長プロジェクト、第3回国連人間居住会議(ハビタット 3)を担当。筑波大学客員教授、パリ政治学院非常勤教授。
<当日の配布資料、参考資料 は以下よりご覧いただけます>
■コンパクトシティレポートのURL
(英語) www.oecd.org/greengrowth/compact-city-policies-9789264167865-en.htm
(日本語)www.oecd.org/publications/compact-city-policies-9789264180314-ja.htm
(中国語)www.oecd.org/publications/compact-city-policies-9789264113527-zh.htm
■OECDの都市政策に関するウェブページ
www.oecd.org/gov/cities
www.oecd.org/greencities
■スライド資料



受講者の感想
本セミナーでは、OECD加盟国を対象とした調査から、コンパクトシティの多面的な意義や実現のための戦略、特色ある各国の成功事例について御紹介いただきました。
その中で各国では様々な目標設定のもとでコンパクトシティ化へ向けた取組が行われており、特に都市の魅力を高める文化資源や地域資産を活用し成功を収めている点は大変興味深かったです。例えば、メルボルンでのオフィスを活用した街中居住政策やバンクーバーでの産業施設の保存のための土地利用の誘導など、成功している都市では、既存の都市資産の利用強化を促進し、地域の特徴を残しながら魅力を高めています。このような海外の取組は日本においても重視していかなくてはならないものの一つであると強く思いました。
都市計画等の専門家や学生からの質疑では、コンパクトシティ政策の持つデメリットの側面への向き合い方や日本で求められるコンパクトシティの意義など、熱く活発な議論がなされ、コンパクトシティ政策への注目の高さを改めて認識しました。
最後に、短い日本滞在期間中にこのような大変重要な政策課題について講義していただきました松本先生に心から感謝するとともに、このような貴重な講義内容をきっかけに自らの知見を深め、今後の学業や仕事に取り組んでいく所存です。
公共政策プログラム インフラ政策コース 岩澤さん
公開セミナー「文化を巡る政策最前線2016」(第41回)
"Cultural Heritage Protection in European and Polish Law"
■Lecturer : Dr. Kamil Zeidler
(Professor of University of Gdansk)
■Date : Tuesday, July 28th, 2016 18:30-20:00
■Venue : GRIPS Meeting Room 3A
■Language: English

■Profile
Prof. dr hab. Kamil Zeidler – professor of law at the Department of Theory and Philosophy of State and Law, Faculty of Law and Administration, University of Gdansk (Poland).
Author of more than 400 publications on legal protection of cultural heritage, theory and philosophy of law, international law and European law; participated and cooperated in organization of numerous conferences in the same fields. Had lectures at many universities in Poland and abroad. Gained scholarships form Ministry of Culture of the Polish Republic for cultural heritage legal research twice (2003, 2007); DAAD scholarship at Friedrich Wilhelms University in Bonn (1997); and others. Member of international scientific associations: Internationale Vereinigung für Rechts und Sozialphilosophie (IVR), Polish Branch of International Law Association (ILA), Polish National Committee of International Council on Monuments and Sites (ICOMOS), Polish National Committee of International Council of Museums (ICOM); director in the Centre for East Asia Studies at the University of Gdansk; shodan - Karate Shotokan.


■Summary
The system of cultural heritage protection is based on three pillars: 1) law, 2) economics, and 3) social knowledge and responsibility. Although law is very important, but is not the only factor in human activity called cultural heritage protection.
Focusing on law it should be stressed that in all modern states the system of legal protection of cultural heritage has two sources: public international law and internal law; sometimes it has the third source, like European law (which is quite different from international law) in European Union member states.
Law is divided into different branches: civil law, criminal law, administrative law, financial law, etc. In each of them we can find legal tools stipulated to protect cultural heritage, however some of them are more useful than others.
In the process of applying the law, we have to focus on valuation – determining what is an object of cultural heritage and what is not, but not only then. When public authority has to make a legal decision, very often it has to go beyond the legal system (understood as a system of legal norms and – norms interpreted from these legal norms), and refer to other normative systems and systems of valuation. With regard to this issue the most important is, as we can call it, theory of conservation, the most important part of which is soft law document - Venice Charter (1964).
Finally, this problem is strictly connected with liberalism versus communitarianism debate, and as such it can be called hard case.
特別フォーラム「クリエイティブなEU」に向けて ―文化創造の新たな取り組み
■日 時:2016年5月18日(水)14:30~16:30
■場 所:駐日EU代表部
(東京都港区南麻布4-6-28ヨーロッパハウス)
■講演:マルティーヌ・ライシャーツ
(欧州委員会 教育・文化総局 総局長)
垣内恵美子
(政策研究大学院大学 文化政策プログラム教授)
■言 語:英語、日本語(同時通訳あり)
■主 催:駐日欧州連合代表部
■後 援:政策研究大学院大学
■入場料:無料、定員180名



欧州連合(EU)において、文化政策は各加盟国の管轄であるが、デジタル化の影響、文化ガバナンスモデルの変容、文化創造産業の革新能力の後押しの必要性といった共通の課題に対しては、EUの行政執行機関である欧州委員会が取り組みを支援している。
「カルチャー(Culture)」および「メディア(MEDIA)」といったプログラムの成功を受け、EUは2014年にそれらを統合し、欧州の文化創造産業を支援する総合支援策「クリエイティブ・ヨーロッパ(Creative Europe)」を始動させた。
本講演ではEUの文化・青少年・スポーツ部門の政策を司る欧州委員会文化・教育総局のマルティーヌ・ライシャーツ総局長が、クリエイティブ・ヨーロッパなどの施策を通して文化創造産業を推進するEUの取り組みの現状と課題を日本に紹介する。
また、政策研究大学院大学文化政策プログラムディレクターの垣内恵美子教授より、同分野における日本の状況について講演いただき、両者のディスカッションを通じて日欧共通の課題や今後の協働の可能性を探る。
受講者の感想
今回のEUフォーラムでは、文化政策に関するEUでの現状と日本での現状の両方についてお話を聞きました。二つの視点から講演を聞くことによって、文化政策の普遍的な課題と地域によって異なる側面を垣間見ることができたと思います。政策というのは、今、を反映すべきものであり、今回のフォーラムで文化政策を担う人々の生の声を聞けたことは文化政策を学ぶ上で不可欠でかつ貴重な経験でした。
特に、講演中にマルティーヌ・ライシャーツ氏から送られた若い世代へのエールには胸に響きました。これからの文化政策を担うことができるように、一層力を入れて勉学に励もうと決意しました。
文化政策プログラム 木村さん
シンポジウム「実演芸術で世界とつながる
〜分野を超えてネットワークを広げ、深めるために〜」
Symposium "Getting Connected to the World through Performing Arts -Expanding and Deepening Networks Across Disciplinary Borders"
文化庁委託事業『次世代の文化を創造する新進芸術家育成事業「実演芸術連携交流事業」』
■主催:文化庁、公益財団法人日本芸能実演家団体協議会[芸団協]、政策研究大学院大学
■後援:国際交流基金
■協力:公益社団法人日本オーケストラ連盟、アシテジ<国際児童青少年舞台芸術協会>日本センター、劇場・音楽堂等連絡協議会
■日時:2016年1月22日(金)13:00-17:45
■会場:政策研究大学院大学 想海樓ホール
■プログラム:
◯開会挨拶 加藤 敬(文化庁 文化部芸術文化課長)
今野雅裕(政策研究大学院大学 学長特別補佐 / 教授)
◯基調講演 安藤裕康(国際交流基金 理事長)
◯第1部:国を超えたネットワーク構築について、アジアに焦点を当て、オーケストラ、児童・青少年演劇を事例に議論します。
<パネリスト>
キム・スキ(アシテジ韓国センター会長)
アチャラ・テジャパイブル(バンコク交響楽団財団ディレクター・事務局長/
アジア太平洋地域オーケストラ連盟副会長)
大野幸則(アシテジ日本センター副会長)
加納民夫(日本オーケストラ連盟参与)
<進行>
垣内恵美子(政策研究大学院大学 教授)
◯第2部:日本の芸術文化を世界に発信していくためには、どのようなことが必要とされるか。ポピュラーミュージック、伝統音楽を事例に、国外での展開と国内での基盤づくりの両面から、今後のあり方を考えます。
<パネリスト>
後藤 匡 (SYNC MUSIC JAPAN 事務局長)
藤本 草 (日本伝統文化振興財団会長)
<進行>
徳丸吉彦 (聖徳大学 教授)



【同時開催】ポスターセッション「GRIPSにおける文化政策研究の最前線ー実演芸術編ー」
政策研究大学院大学(GRIPS)文化政策プログラムのメンバーが、実演芸術分野で挙げてきた研究成果を、
想海樓ホールロビーで展示発表。さまざまな課題や研究を共有し、発表者と来場者の皆様との交流を目指します。
<コーディネーター> 志村聖子(政策研究大学院大学 文化政策プログラム 研究助手



受講者の感想
シンポジウムのテーマにあった「世界とつながる」「分野を超えて」ということばにふさわしく、今回のイベントは、様々なジャンルにおける国際的な取り組みの状況を知ることができる、とても貴重な機会となりました。
国際交流基金理事長の安藤氏の基調講演では、一方的な発信にとどまらず、人的交流を含めた双方向の文化交流の大切さを強調されたことが印象的でした。
シンポジウムの第1部では、タイと日本のオーケストラ、韓国と日本のアシテジ(国際児童青少年舞台芸術協会)のそれぞれの組織の設立経緯や近年の取り組みが紹介され、各国の社会的な背景の違いや政府・自治体の姿勢など、興味深いお話しを聞くことができました。
最後となるシンポジウム第2部は、日本の芸術文化の世界発信というテーマのもと、ポピュラーミュージックと伝統音楽という、ある意味で対極に位置するジャンルの代表者の共演でした。明治以降、西洋音楽教育に注力された反面、結果的に伝統音楽が衰退してしまっているという指摘には、考えさせられるものがありました。
ロビーでは、政策研究大学院大学文化政策プログラムにおける、実演芸術に関する研究の成果(劇場、オーケストラ、日本舞踊、自治体の取り組みなど)が紹介され、こちらも来場者の注目を集めていました。
公共政策プログラム 竹内さん
公開セミナー「文化を巡る政策最前線2015」(第40回)
「景観、観光、まちづくり:国土形成計画が描く未来」
■講演:白石 秀俊(国土交通省 国土政策局 総合計画課長)
■日時:2015年12月3日(木)18:30-20:00
■会場:政策研究大学院大学 講義室F
本格的な人口減少社会に正面から立ち向かう今般の国土形成計画は、「コンパクトとネットワーク」、 「対流」、「地域の個性」をキーワードに、希望の持てる未来像を提示しようとした。
歴史の中で育まれた地域の文化は、国土の上で多様な景観を形成し、観光資源であるだけでなく、 自己認識の拠点であり、新たな価値創造の基盤でもある。計画が示す方向性と具体策を、文化の位置づけ、その可能性の観点から議論する。
<講師プロフィール>
1988年4月 京都大学 文学部 卒業。国土庁入庁。
2007年4月 国土交通省都市・地域整備局地方振興課半島振興室長
2008年7月 国土交通省総合政策局政策課政策企画官
2009年8月 人事院人材局交流派遣専門員
(みずほ信託銀行不動産コンサルティング部参事役)
2011年8月 国土交通省東北地方整備局建政部長
2013年8月 国土交通省国土政策局広域地方政策課長
2014年7月 国土交通省国土政策局総合計画課長
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公開セミナー「文化を巡る政策最前線2015」(第39回)
「ソーシャルキャピタル概論:その概念・背景と政策への適用可能性」
■講演:澤井 安勇 (特定非営利活動法人 都市工会 代表理事、東京大学まちづくり大学院特別講師)
■日時:2015年11月26日(木) 18:30-20:00
■会場:政策研究大学院大学 講義室F
<講師プロフィール>
1944年東京生まれ。1968年東京大学工学部都市工学科卒業後、自治省入省。船橋市助役、岡山県副知事、大臣官房企画室長、消防庁次長などを経て退官。その後、(財)地域創造常務理事、総合研究開発機構(NIRA)理事等を歴任、現在NPO法人都市工会(としのたくみのかい)代表理事。この間、法政大学大学院政策科学研究科客員教授・講師、帝京大学経済学部観光経営科客員教授、中野区政策研究機構所長などに就任。現在、東京大学まちづくり大学院特別講師、さいたま市本庁舎整備審議会会長、川崎市文化芸術振興会議会長、NPO法人「フォーラム自治研究」顧問等を兼任。また、都市工学科同窓会有志と自主公開講座「都市工塾」を運営。文化都市政策論、都市ガバナンス論などを専攻。工学博士(横浜国立大学)。
編著書等に、『ソーシャル・ガバナンス:新しい分権・市民社会の構図』(共編著、2004年、東洋経済新報社)、『政策研究のメソドロジー(戦略と実践)』(共同執筆、2005、法律文化社)、『価値を創る都市へ』(共同執筆、2008、NTT出版)、「現代公共ガバナンスと自治体シンクタンク」(『計画行政』32(4)、2009:計画行政学会賞受賞)など。
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現代市民社会は、市民セクター、政府セクター、ビジネスセクター間の協調的なネットワーク関係により、健全で持続可能な状況、いわゆるグッド・ガバナンスが達成されるとされていますが、そのような状況の基盤としてソーシャル・キャピタル(社会関係資本)があると言われています。このソーシャル・キャピタルの概念・背景、多様な政策領域への適用可能性等について、考えてみたいと思います。
<キーワード>
ソーシャル・ガバナンス、アソシエーション(ソーシャル・エコノミー)、
ソーシャル・キャピタル、信頼・互酬性の規範・市民的積極参加のネットワーク、
ソーシャル・キャピタルのダークサイド、 文化都市政策

公開セミナー「文化を巡る政策最前線2015」(第37回、第38回)
"Culture for Development --Museums and Theaters--"
■Lecturer : Dr. Xavier Greffe (Professor of Economics at the University Paris 1 Panthéon- Sorbonne)
■Date : Monday & Tuesday, August 24th & 25th, 2015 18:30-20:00
■Venue : GRIPS Meeting Room 3A
■Language: English
Augst 24th
"Museum Management: Issues and Prospects from an European Perspective"
Augst 25th
"Theaters for Development: Professional or Amateurs?"
Dr. Xavier Greffe is Professor of Economics at the University Paris I - Sorbonne where he manages the PhD program in Economics of Arts, and he is also President of the French National commission on Artistic Employment.
A leading cultural economist, he will provide new insights on cultural facilities—museums and theaters—in this rapidly changing world. Are they able to function as incubators of human capital and centers of value creation? Who is benefiting from
them? And who will bear the operating costs? The answers to these questions will certainly indicate future directions for cultural policy.



公開セミナー「文化を巡る政策最前線2015」(第36回)
「21世紀のアートマーケティング」
■講演:林 伸光(兵庫県立芸術文化センター ゼネラルマネージャー)
■日時:2015年6月26日(金) 18:30-20:00
■会場:政策研究大学院大学 講義室F
<講師プロフィール>
神戸大学経営学部卒業。朝日放送(株)入社、事業部で音楽事業を担当。
1982年、ザ・シンフォニーホール(大阪)開館準備より2003年まで、21年間ホール運営、自主事業、海外音楽団体招聘事業などを担当。事業部長を務める。
2003年10月より現職。著作に「チケットを売り切る劇場〜兵庫県立芸術文化センターの軌跡」(共著、水曜社)。
神戸女学院大学、北海道教育大学、甲南大学非常勤講師。兵庫県神戸市出身。

"この劇場の目線は、常に顧客を向いている。顧客は、観客だけではない。劇場周辺の地域コミュニティ、商店街の人たち、学校、県民、劇場の利用者、そして舞台に立つアーティストも、また、劇場経営から見れば、スタッフ、従業員も皆顧客である。
そのすべての顧客の満足度が、同時に最大値に近づく努力を絶えず行い続けることで、劇場は「みんなの広場」であることが可能となる" 「チケットを売り切る劇場~兵庫県立芸術文化センターの軌跡」(共著、水曜社)より引用
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公開セミナー「文化を巡る政策最前線2015」(第35回)
「ミュージアムの社会への貢献:可能性と課題」
■講演:南條 史生(森美術館 館長)
■日時:2015年6月18日(木)18:30-20:00
■会場:政策研究大学院大学 講義室F
美術はいまや単なる個人の趣味ではなく、巨大な産業の一つになりつつある。それは、アジアで拡大し た現代美術の市場、日々報道されるオークションのニュースなどからも分かる通り、経済活動の一部でもあり、社会的な事件でもある。
一方で、地方新興の意図を持って実施される大型の国際美術展、地域住民のためのワークショップや地域産業との共同作業、観光産業とのタイアップなどは増大し、アートの負う社会的な役割はますます拡大している。六本木にある森美術館は、国立新美術館、サントリー美術館と六本木アートトライアングルを形成し、六本木アートナイトの牽引役を果たしている。この講座では新しい時代のアートと美術館に対する期待と役割について、事例を挙げて検証し、解説する。

<講師プロフィール>
1949年東京生まれ。1972年慶應義塾大学経済学部、1977年文学部哲学科美 学美術史学専攻卒業。1978-86年国際交流基金、1986-90年ICAナゴヤデ ィレクター、1990年-2002年ナンジョウアンドアソシエイツ主宰、2002-06 年森美術館副館長を経て2006年11月より森美術館館長。 国際的な展覧会、審査員の経験として、第47回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館コミッショナー(1997年)、台北ビエンナーレコミッショナー(1998 年)、ターナー賞審査委員(1998年)、横浜トリエンナーレ2001(第1回)アーティスティック・ディレクター(2001年)、第51回ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞審査委員(2005年)、第1回、第2回シンガポール・ビエンナーレ アーティスティック・ディレクター(2006年、2008年)等を歴任。 行政に関わる近年の役割として、2011-12年経済産業省クリエイティブシティ 研究会、2012年外務省広報文化外交のあり方に関する有識者懇談会、2014年文化庁現代美術の海外発信に関する検討会議、2015年4月より文化庁文化審議会文化政策部会など多数。 著書に「美術から都市へ~インディペンデントキュレーター15年の軌跡~」 (鹿島出版会、1997年)、「疾走するアジア~現代美術の今を見る~」 (美術年鑑社、2010年)、「アートを生きる」(角川書店、2012年)がある。
受講者の感想:
今回のセミナーでは、森美術館館長の南條史生氏より、「ミュージアムの社会への貢献:可能性と課題」というテーマのもと、非常に多くの貴重なお話を伺うことができました。これまでの様々なビエンナーレの実例等、文献からだけではわからない現実や現場に近いお話を伺ったり、国内外の様々なパブリックアート等の豊富なお写真を拝見したりすることができ、非常に興味深いことばかりでした。
また、今回のセミナーを通して、ミュージアムの在り方や役割、ビエンナーレの意義、さらには、“アート”について、あらためて考えることができました。ミュージアムはクリエイティブ産業の基盤として非常に重要な役割を果たしているというお話や、ミュージアムには“展示室の中にアートを展示する”という役割だけでなく、“街の中に出ていくミュージアム”、“活動拠点としてのミュージアム”、“交流する場としてのミュージアム”といった様々な役割があるというお話は特に印象に残っています。
最後には、日本におけるアート領域での人材育成の課題等についてのお話も伺うことができ、文化政策を学ぶ上でも非常に有意義なセミナーでした。
文化政策プログラム 岡田さん
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公開セミナー「文化を巡る政策最前線2015」(第34回)
"Artistic Creation in the Contemporary World"
■Lecturer: David Danzon (Artistic Director and co-founder of CORPUS)
■Date: Thursday, May 7th, 2015 13:20-14:50
■Venue: GRIPS Research Meeting Room F
■Language: English
パフォーミング・アーツ(実演芸術)の制作や運営に関わる人たちにとって、自分たちのミッションを守りつつ、幅広い観客のニーズに 応え、なおかつ現代社会に対して作品や公演の意義や魅力をアピールしていくことは大きな課題となっています。一つの作品をどのように 概念化し、収斂し、他者とともに創り上げていくのか、どのようにして観客のニーズを把握し、観客と関わり合うのか、について改めて考えることが必要となっています。
今回の特別セミナーでは、都会の中心 にひつじ牧場を出現させ、現実とファンタジーが交差する「ひつじ」(Les moutons)など、ユニークなライブパ フォーマンスを繰り広げるカナダの劇団CORPUSを1997年に創立し、 演劇世界における作品創造の最前線に立つ新進気鋭のアーティスティック・ディレクターDavid Danzon氏に、作品制作に関する実情や観客創造についての課題を中心にご講演いただきます。CORPUSは、日本では八雲国際演劇祭や東京芸術劇場TACT/FESTIVALなどで公演し、幅広い観客層から大好評を博してきました。


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公開セミナー「文化を巡る政策最前線2014」(第31回〜第33回)
"Current Issues of Cultural Policy in Korea" 2014年12月15日〜17日
Speaker: Dr. Seung Young UHM
Dr. Seung Yong UHM, after graduating from Hanguk University of Foreign Studies with a BA in English Language and Public Administration, successively held various governmental posts including Director General of Policy Bureau, Cultural Heritage Administration. In2010 he received Ph.D degree from Politics Department, the University of Newcastle Upon Tyne, UK. At present, he serves as Chairman of the Board of Councils, Korea Cultural Resources Institute, as a member of Cultural Heritage Committee, Chungcheong Southern Province (Nam-do), and Adjunct Professor, Department of Politics and Foreign Relations, Sookmyung Women’s University.
15th (mon) 16:40-18:10 “Korean's efforts toward creative city –What is critical factors for success?”
16th (tue ) 18:20-19:50 “Digital heritage –What does it make possible?”
17th (wed) 18:20-19:50 “Key issues in cultural heritage –What is missing in heritage policies?”
Venue: GRIPS Research Meeting Room 4F
Organizers: GRIPS Cultural Policy Program, (Ph.D.) Public Policy Program
Language: English


受講者の感想:
韓国文化財庁の政策局長も務められたUhm先生から、韓国における文化政策の現状と課題に関し、3日間(3回)にわたり、それぞれ違ったテーマでお話をうかがいました。
初回は、韓国国内で多くの都市が「クリエイティブ・シティ」を標榜し、国もこれを支援しており、日本と同様に地域活性化方策の一つとして取り組まれている状況が紹介されました。第2回は、有形・無形の文化遺産を記録・再現したり、発掘調査を効率的に行ったりする最新のデジタル技術の活用事例が紹介されました。そして、第3回では、さらに最新の“Key Issues”として、ソウルの崇禮門(南大門)の火災事件(2008年)を教訓に取り組まれている文化遺産の災害対策、国内のみならず海外にも目を向けた文化遺産ODA、文化遺産活用の新たなパラダイムとしての文化遺産産業(Heritage Industry)の3点が取り上げられました。
一貫して、保護・保存vs開発・活用の対立など、政治的な問題が背景にあることに触れられ、経験者ならではの貴重なお話を聞くことができました。
(公共政策プログラム 竹内さん)
公開セミナー「文化を巡る政策最前線2014」(第30回)
"Heritage, Art and Social Inclusion"
Speaker: Professor Niramon Kulsrisombat (D.Eng)
Director, Urban Design and Development Center (UddC)/
Assistant Professor, Department of Urban and Regional Planning,
Faculty of Architecture, Chulalongkorn University, Thailand
Venue: GRIPS Research Meeting Room 4F
Organizers: GRIPS Cultural Policy Program
Language: English
2014年10月28日

受講者の感想
このセミナーでは、タイのチュラロンコン大学で都市デザイン等に関して教鞭を取られているNiramon Kulsrisombat先生から、バンコクにおける文化・芸術による都市再生の取り組みを紹介していただきました。バンコク市内では、住民のコミュニティ意識が希薄化し、地域の公共的課題への関心が薄れ、身近にある建物やまちなみの文化的価値を認識している住民も減っているとのこと。タイ及びバンコク市の行政は、コミュニティ再生を都市再生の課題の一つと位置づけ、文化・芸術によるコミュニティ再生にも期待を寄せているそうです。 Kulsrisombat先生の関わっている同市内Kadeejeen地区でのパイロット事業では、cultural mappingとart festivalの2つの手法で、地域住民を始めとする地域のステークホルダーを巻き込みながら、彼ら自信が地域の文化資源を再発見してまちづくりへの関心を高めることに一定の成果を挙げているということが紹介されました。 この取り組みは日本の事例からもヒントを得たものとのことでしたが、ともすると観光客誘致ばかりが焦点となりがちな近年の日本の芸術祭に対し、コミュニティ再生に主眼を置くバンコクの取り組みが新鮮に感じられました。
(公共政策プログラム 竹内さん)
公開セミナー「文化を巡る政策最前線2014」(第29回)
"Towards New Collaboration between Japan and Europe"
Venue: National Graduate Institute for Policy Studies, GRIPS
Organizers: GRIPS Cultural Policy Program & ENCATC
Language: English
Admission : Free, Registration required.
Prof. Savina Tarsitano will introduce her artistic project as well as a new collaboration project between Japan and Europe. She has been working actively as an am member of the European Culture Parliament and Ambassador of the REBIRTH project of Michelangelo Pistoletto, the main purpose of which is to develop new cooperation, to meet people, in small and rural villages to new artistic project for a social and responsible transformation.

受講者の感想
“TOWARDS NEW COLLABORATION BETWEEN JAPAN AND EUROPE”において、ビジュアル・アーティストのSavina Tarsitano氏が来学され、2014年8月4日政策研究大学院大学において特別セミナーが開催された。
氏は、欧州文化会議(European Cultural Parliament)のメンバーであり、様々なプロジェクトから助成を受け芸術教育、研究活動に携わっている。世界各国で精力的に芸術活動され、作品はデンマーク、フランス、マルチニーク、グリーンランド(イタリア)、ドイツ、フィンランド、ベルギー、オランダ、およびアメリカ合衆国(ロサンゼルス)において好評を博している。
今回の特別セミナーにおいて、氏の創造的な芸術は、場所(地域)や環境から生じる内生的なビジョンを具体化したものであること、2006年より展開しているプロジェクト “creativity in motion” は、芸術教育カリキュラムの強化とともに、芸術を通した地域の社会的な統合の促進と住民自らによる地域社会との関係の回復を目指しており、このプロジェクトが地域へ貢献していることが示された。(この活動は2012年ルーブル美術館においてプロジェクトの作品が展示された。)
また、アメリカ人の作曲家Morris Rosenzweigとの写真と音楽の対話によるコラボレーション“Heard through mixtful eyes” においては、芸術家が互いに触発されることによって、より優れた音楽と映像作品が産み出された事例が作品とともに紹介された。
その後、政策研究大学院大学の垣内教授、武蔵野美術大学の杉浦准教授の進行で当日の参加者とGRIPSの学生も参加してディスカッションが行われ、芸術教育、生涯教育、地域貢献そしてアジアの文化事情にまで議論は及んだ。
今回の特別セミナーで、社会には様々な課題が存在し、世界や運命を変えるまではできないが、芸術文化を通して、人々は心を開くことができ、異なる分野の地域社会や人々が協力して行う共同制作・共同作業、ネットワークが、文化の本質的なところでつながり始める可能性を強く感じ、考える機会を得たことに深く感謝しています。(文化政策プログラム 上村さん)
公開セミナー「文化を巡る政策最前線2014」(第28回)
"Creative Cities At Work"
人々の暮らしや都市の発展において「文化」はどのように役割を果たすことができるのか。「創造都市(creative city)」や「創造産業(creative industry)」といった概念を中心に、これまで多くの議論がなされてきました。しかし、グローバル化と分権化がなおも進行する中で、社会的、人的資本として、文化の果たしうる役割は今後さらに大きなものとなってきます。本セミナーでは、ドイツ、フランス、日本の専門家が、文化、創造性、都市をめぐり、その課題と展望について議論を展開します。
日時: 2014年7月26日(土)13:30~16:30
会場: 政策研究大学院大学3階会議室3A
主催: 政策研究大学院大学文化政策プログラム
言語: 日本語、英語、(逐次通訳)
定員: 25名(要事前申込み、先着順、無料)
※プログラム詳細はこちらをご覧ください。


受講者の感想
近年、創造都市に関する様々なセミナーが各地で開催されてきていますが、このセミナーは、日欧の最新事情とともに、文化・芸術、創造性、都市といったキーワードの関連性を経済学の視点も交えて客観的に捉えなおす内容であり、大変刺激的なものとなりました。
セミナーの前半では、まず、ドルトムント工科大学名誉教授のKunzmann氏が創造性に着目したベルリンの都市政策の現状を紹介。続いて、本学の垣内教授が日本での創造性を巡る議論を高度経済成長期まで遡って概観。後半は、ユネスコ・デザイン都市なごや推進事業実行委員会の江坂氏が、「『ものづくり』の歴史の中にある」という名古屋市のユネスコ“Creative Cities Network”加盟に至る経緯やこれまでの取り組みを紹介。最後に、パリ第一大学教授のGreffee氏が、創造性、文化、芸術家といったキーワードが経済学の視点からどのような特徴を持ったものと捉えられるかが紹介されました。いずれも時間的には短かったのですが、示唆に富んだプレゼンテーションであり、その後の本学の橋本名誉教授が司会のディスカッションでも、活発な意見交換が行われました。 魅力的な響きを持つ「創造都市」の実態と本質に迫る貴重なセミナーだったと感じました。参加させていただき、本当にありがとうございました。(公共政策プログラム 竹内さん)
公開セミナー「文化を巡る政策最前線2014」(第27回)
「建築の力」
講演者: 伊東 豊雄 氏
日 時: 2014年7月10日(木) 18:30~20:00
場 所: 政策研究大学院大学5階 講義室L
定 員: 100名
参加費: 無料 (要事前申込み、先着順)
主 催: 政策研究大学院大学 文化政策プログラム
■ 受講者の感想
「世界的な建築家 伊東豊雄氏の講演」
世界を舞台にご活躍をされてきた建築家伊東豊雄氏が「東日本大震災で被災し、仮設住宅に住む方々に“建築の力”で何ができるのか?」と考え、被災地のプロジェクトで誓った3つの掟。①批判はやめよう!②できることをやろう!③個人のアイデンティティーを持ったモダニズムは捨てよう!
被災者と建築家が伴にアイデアを出し合い、3年をかけて作った地域の憩いの空間“みんなの家”。それは、氏の過去の作品とは異なり、昔の旧家を思わせる、土間や縁側があり、外と中を感じさせない家でした。みんなが集まる秘訣は、年齢にかかわらず、触れたい、見たい、聞きたい、遊びたい、という好奇心を抱かせることだと。
過去、氏がデザインした海外のビックプロジェクトの説明をしながら、“今ならもっと違うデザインをする。もっと地域を巻き込み、一緒になって作ることが大切だ”と…サラッと話す巨匠の未来を見据える姿は、70歳余という年齢を感じさせない、情熱的なものでありました。
小生も土木施設を計画、設計する立場として、感銘を受けると伴に、ヒントを頂くことができました。人が集まるには、作り手の情熱が必要であるということを。伊東先生、ありがとうございました。
(開発政策プログラム 山崎さん)


講演者: 安藤 裕康 氏 (国際交流基金理事長)
日 時: 2014年6月19日(木) 18:30~20:00
場 所: 政策研究大学院大学5階 講義室A
定 員: 40名
参加費: 無料 (要事前申込み)
主 催: 政策研究大学院大学 文化政策プログラム
■ 受講者の感想
日本の国際交流基金:その新たな方向性」というテーマのもと、国際交流基金の安藤裕康理事長から国際交流基金の活動や文化交流について様々なお話を伺うことができました。今回のこの貴重な機会を通して、国際交流基金の存在意義や国際交流、文化交流の必要性をあらためて強く感じることができたとともに、国際交流、文化交流における課題についてもあらためて考えることができました。
また、国際交流基金の新たなプロジェクトとして進行している「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト」、アジアンセンター設立に関するお話も伺い、双方向の交流の重要性についてや、アジア、その中でもまずはASEANとの交流に目を向けていく必要があるというお話が特に印象に残っています。本学にはアジアからの留学生も多く在籍しているので、身近なところからも双方向の文化交流を実践していけるのでは、と考えています。これまで、日本としても私個人としても、文化交流というと欧米に目を向けがちでしたが、文化政策を学ぶ上で、文化政策に関わる上で、今後はアジアにも積極的に目を向けていきたいと思います。
(文化政策プログラム 岡田さん)
公開セミナー「文化を巡る政策最前線2014」(第26回)
「日本の国際文化交流:その新たな方向性」

文化庁文化交流使フォーラム
2014年2月28日、平成24年度~25年度に海外での活動を終えた6名の海外派遣型「文化交流使」による「文化庁文化交流使フォーラム2014」(主催:文化庁 共催:政策研究大学院大学)が本学において開催されました。
実施概要については、本学広報サイト、文化庁ホームページをご覧ください。
特別セミナー「文化を巡る政策最前線2013」(第24回、第25回)
GRIPS文化政策プログラムでは、文化政策を取り巻くさまざまな問題を、現実の行政の観点から論点を整理し検討するとともに、今後の文化振興の方向と具体的な方策を探るため、毎年各分野から専門家を招き、「文化をめぐる政策最前線」を開催しています。
日時: 2013年6月27日(木)、7月9日(火)いずれも18:30−20:00
主催: 政策研究大学院大学文化政策プログラム
会場: 政策研究大学院大学 3階会議室3A
講師とテーマ:① 6月27日 「劇団四季のマネジメント」 田中浩一氏/劇団四季 常務取締役
② 7月 9日 「タイトル未定」 土持幸三氏/映画監督



日仏セミナー France-Japan Seminar on Creative Projects
-Dialogue for Collaboration-
日本及びフランスでクリエイティブ・プロジェクトに取り組む都市が集まり、交流を行いました。ナント市の戦略的なプロジェクトはとても興味深く、日本側の各都市のプレゼンテーションのあとのディスカッションも充実したものとなりました。今後の展開に期待が膨らむセミナーでした。
日時: 2013年5月9日 13:30-17:30
主催: 政策研究大学院大学文化政策プログラム
会場: 政策研究大学院大学 3階会議室3A
◆ 仏側参加都市: ナント
ジャン=ルイ・ボナン氏(Cultural Consultant / 1995-2011 Director of Cultural Development,
City of Nantes and Cultural Advisor to the Mayor and President of Nantes Métropole)
ジャン=リュック・チャールズ氏(Director General of The SAMOA)
◆ 日本側参加都市: 別府・金沢・横浜
コーディネーター: 垣内恵美子(政策研究大学院大学文化政策プログラム教授)