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2022年11月16日(水)国際シンポジウム「劇場の未来を考える 課題解決型シアターマネジメントー危機を乗り越えるためにー」をオンライン開催いたしました。PartⅠは協力劇場及び関係者によるクローズドセミナー、PartⅡでは海外からの専門家を迎えての基調講演、ディスカッションを行いました。研修生のみなさま、各館長、アドバイザリー、関係者のみなさまには、深くお礼を申し上げます。


<順次公開予定です>

■開催報告1|PartⅠ 研修生によるプレゼンテーション 

■開催報告2|PartⅡ 海外招聘パネリストによる基調講演 

           協力劇場館長・本事業アドバイザリー・海外招聘パネリストによるラウンドテーブル

 

Part Ⅰ|劇場が直面する課題


オープニングリマークスでは、本事業ディレクター垣内名誉教授が、日本における劇場を取り巻く状況を概説したうえで、2022年3月兵庫県で実施したアンケート調査の結果もふまえ、鑑賞活動におけるコロナ禍以降の人々の意識の変化についても触れました。


「劇場活動は、コロナ禍で非常に大きな打撃を受けました。感染抑制のために、人流を止めることはやむをえないことでしたが、劇場の本質は、特定の時間、空間に人々が集まり、体験を共有することにあると思います。不要不急と言われたことの精神的ダメージもありましたが、閉館や観客数制限は劇場活動への直接的なダメージとなりました。一方、対面での活動ができなくなったことで、クローズアップされたのはデジタル化の推進です。デジタル化は、今や文化全般で進展しており、作品と最初に出あうのは、自分の部屋でスマホで、といった方も増えてきています。舞台配信は、コロナ巣ごもり中の多くの人々に享受され、これまでの顧客とは異なる人々にもつながりました。オンラインであれば、いつでも、どこでも、そしてチケット代よりもはるかに安く、鑑賞ができます。また、告知も、紙媒体やホームページに加えて、機動性の高いSNSの利用が進みました。


しかしながら、各種調査からは、人々の「ライブ」へのニーズは根強いということも見えています。コロナ禍が落ち着けばライブで芸術を楽しみたい人は多く、一方で、コロナ禍が落ち着いた後もオンライン配信を鑑賞し続けるという人は非常に少ないようです。ライブの舞台芸術鑑賞を主たる活動とする劇場では、時間とお金をかけて、チケットを買って、劇場に来てくれる顧客を、いかに満足させることができるか、旅行や飲食、ネットサーフィンなど他の時間消費型活動といかに差別化を図れるか、ということが、これまで以上に重要になっていくでしょう。優れたコンテンツを作り続けることこそ優先されなければならないわけですが、一方で、デジタル化にどこまで投資すべきかは、悩ましい課題です。それでも、生の舞台芸術を作り続けるために、デジタルの恩恵を最大化することも、今後検討されなくてはならない重要課題となるでしょう。さらに、昨今のウクライナ情勢などによる光熱水費の高騰や、人件費の値上がりなど、今後経費の増大も懸念されています。こういった不透明な状況の中、今、何をすれば、劇場が持つ文化力を次の世代につなげていくことができるでしょうか。今日は、このことを皆さんと一緒に考えてみたいと思います。」


各劇場プレゼンテーション<7劇場×15分>

最前線からの報告 |司会 小川由美子


コロナ禍における各劇場の取り組み等を共有するために、今年度協力劇場より6施設、8名の研修生がプレゼンテーションを行いました。地域の特色、文化的背景をふまえた設立経緯、運営方針、施設や組織等の概況をはじめ、主な事業について説明したのち、緊急事態宣言下での閉館を経て、活動再開から、コロナ禍という危機に立ち向かうための取り組みなど具体的な事例をご紹介いただきました。


■発表劇場

 ①札幌コンサートホール Kitara Sapporo Concert Hall Kitara

 ②日立システムズホール仙台 Hitachi Systems Hall Sendai

 ③りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 Niigata City Performing Arts Center “RYUTOPIA”|ご欠席

 ④神戸文化ホール Kobe Bunka Hall

 ⑤兵庫県立芸術文化センター Hyogo Performing Arts Center

 ⑥松江市八雲林間劇場 しいの実シアター Yakumo Forest Theatre Shiinomi Theatre

 ⑦北九州芸術劇場 Kitakyushu Performing Arts Center



札幌コンサートホール Kitara(清宮氏)は、「札幌市の主な芸術文化活動」「札幌市芸術文化財団と札幌コンサートホール Kitara」「事業の3つの柱」をご紹介、「現在の課題と取り組み」として、来場者の維持及び新規開拓への取り組みについてに触れ、ブランド力を高めるためのプログラムづくり、新たな客層へ向けた公演の充実、それに伴う人材育成の重要性を挙げてくださいました。


日立システムズホール仙台 (石丸氏・佐藤氏)は、多様な機能を持つ施設の紹介のちに、本事業特別講座でも取り上げたロジックモデルにも言及。PDCAサイクルとロジックモデルを活用しながら、劇場でのバリアフリーへの取り組みを例に、仮設タイプ・ロジックモデルを独自に作成、「場当たり的な課題解決」「職員の知識、対応能力のばらつき」他、具体的な問題点をあぶりだし、その解決への糸口をさぐる、という大変意欲的なプレゼンテーションでした。


神戸文化ホール(坂本氏)は、劇場が直面する課題、として、2023年に開館50周年を迎える神戸文化ホールにおける人材育成を軸に据え、インターンシップ、舞台機構講座(舞台のつくりかた編 宙のソラミミ)等の活動紹介を行い、神戸市でのアーティスト、文化関係者への相談窓口の設置についてなど、文化芸術と地域をつなぐひらかれた存在であることを意識されたご発表でした。


兵庫県立芸術文化センター(酒井氏・波多野氏)は、「阪神淡路大震災からの復興のシンボル」「劇場を街のみんなの広場に」という劇場において、実際に取り組んできたコロナ対策を中心にご発表いただきました。「コロナワーキングチームの設置」「ガイドライン等の制定」等8つの項目を挙げ、KOBELCOホールでの気流実験についても動画でご紹介。次々変わる状況に、真摯に立ち向ってこられた様子が印象的でした。


松江市八雲林間劇場 しいの実シアター (有田氏)は、中山間地にある劇場の特性から述べ、地域の子供たちに向けた「未来学校2022」での活動、また5年ぶりに開催された国際演劇祭「松江・森の演劇祭(2022年11月)」についてもご報告くださいました。各活動での成果として「ボランティアクルーの成長」「近隣住民の変化」「行政とのかかわり、連携」等を挙げ、地域に根差した劇場の存在感を示しました。


北九州芸術劇場(吉松氏)は、「観る」「創る」「育つ」「支える」の4つの事業について、具体的活動をご紹介。新型コロナの影響と取組みとして「Re:北九州の記憶」「やってみた動画」に挑戦、事業に特化したオンライン配信、観客目線での動画シリーズ配信などの実現と合わせ、各事業の実施状況をご報告くださいました。そのうえで、定量的評価に加え、定性的評価への課題や劇場運営における課題に言及されました。


(11月16日 国際シンポジウムPartⅠより)


■アドバイザリーからのコメント

プレゼンテーション終了後、本事業アドバイザリー永山先生、津村先生からのコメントを頂戴しました。各研修生の発表を汲んでの見解、提言に頷かされる点が幾つもありました。


永山恵一氏(株式会社 政策技術研究所 代表取締役)

「札幌コンサートホール Kitaraには、専用ホールで来館者の特定層を拡げることが大きな課題ですが札幌市は札幌文化芸術交流センター(SCARTS)を整備されており、この機能を複数館で活用していくような取組みができると、より広がりのある活動ができるのではないでしょうか」「日立システムズホール仙台には、ロジックモデルを活用して、課題を構造的に、長期的なアウトカムまで見据えて整理されたことは極めて重要な取組みで、劇場の持つ役割や果たしていることの説明力を高めるものであり、ぜひ継続して取組まれたい」「神戸文化ホールには、文化芸術と社会をつなぐにはアートマネジメントが重要との指摘はもっともで、そのための取組みの中では、市民の側が劇場を自分のものと考え、積極的に関わっていけるように「エンゲージメント」という概念を組み込んでいかれると良いと思います」「兵庫県立芸術文化センターのコロナ対策は先進的な取り組みでわたしたちも勉強をさせていただきました。これまでに育まれてきた地域住民・県民との関係、「エンゲージメント」の関係がコロナ禍を乗り越える力にもなってくれると思います」「しいの実シアターは、社会から離れたような場所にありながらも、そこでの演劇活動に社会そのものを見出すことが出来る場ではないかと思います。ここでの活動が、全国、市内にもまだ知られていない、というのはもったいない。配信なども活用して、もっと発信されるよう期待しています」「北九州芸術劇場も劇場文化の拠点ですし、評価を開館以来続けられていますが、それでも現在の課題として評価の課題挙がっているということは、このテーマがいかに難しいか、劇場の社会的な位置づけを挙証していくことが難しいかということの表れかと思います」と個々に所感を述べ、オープニングリマークスでも話題に上った、鑑賞活動におけるコロナの影響、特に、劇場を訪れる経験を3年近く持たない子ども世代の課題にも言及いただきました。


津村卓氏(一般財団法人 地域創造 プロデューサー)

「集客という部分を課題として挙げる方も多かったのですが、そこは勘違いをしないでほしいと思います。集客は大事で、予算における重要なポイントでもありますが、地域や劇場が今後何を目指していくのか、という中で、何を創造するのか、舞台にかけていくのかを抜きに集客を考えては墓穴を掘る、と考えます。劇場には、作った時のキャパシティしかないわけです。人口からするとわずかな数でしかなく、例えば1000席のホールのキャパシティを持つ場合、その後ろにどれだけの市民がいるのか。劇場には来ていない市民の方々にも、文化拠点としてどのような影響を与えていくかを考えるべきではないでしょうか」と劇場のあるべき姿を問いかけ、技術革新の活用についても述べました。「劇場が舞台を創るだけではなく、社会のさまざまな課題を解決していく、芸術文化が社会包摂のことばの中で特効薬のような言い方をされることもありますが、あくまで最初の扉、糸口であろうと思っています。糸口としては効果があります、次に何をやるか、また機能と仕組を同時に考えていかないと、働き方改革に引っかかってしまう。これからICTやDXをとりこんでいくことも必要になると思いますが、単に入れればいいというものでもない。どのように使っていくかを仕組みとしてぜひ考えていただきたい」「そのような中で、しいの実シアターの在り方は一つの原型ではないかとも言えます。それぞれのまちの都市機能、規模にあわせてカスタマイズすることは考えてもいいのかもしれません」「コロナのことは科学的な見地をとりこんでいく必要があるかと思います。ハードとして設備を整えることも出来る。また、今回のことで地域にとってアーティストがいかに必要かということも分かったかと思います。地域の中にアーティストとコーディネーターをつくることもお考えいただければとも考えます」

 

国際シンポジウム「劇場の未来を考える~課題解決型シアターマネジメント2022 ―危機を乗り越えるために―」International Symposium 2022 "The future of theaters: Beyond the pandemic crisis"


■概要

日時 2022年11月 16日(水)10:00‐17:30

場所 Zoom | Webinar ​

対象 本事業研修生及び協力劇場、関係者

趣旨 公共劇場における国内外最新の動向についての情報共有の場として、各劇場の現状を整理し、課題の把握、評価の有効性や活用、 自己評価の試行等に関する議論を行う。

 

■プログラム

 10:00 - オープニングリマークス Opening remarks

垣内 恵美子名誉教授 Prof. KAKIUCHI, Emiko (GRIPS)


■Part Ⅰ|劇場が直面する課題

      Issues facing theaters

10:00-11-55 非公開:closed session 

 各劇場プレゼンテーション<7劇場×15分>

 最前線からの報告 Reports from frontline

 ①10:10ー10:25 札幌コンサートホール Kitara Sapporo Concert Hall Kitara

 ②10:25ー10:40 日立システムズホール仙台 Hitachi Systems Hall Sendai

 ③10:40ー10:55 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 Niigata City Performing Arts Center “RYUTOPIA”

 ④10:55ー11:10 神戸文化ホール Kobe Bunka Hall

 ⑤11:10ー11:25 兵庫県立芸術文化センター Hyogo Performing Arts Center

 ⑥11:25ー11:40 松江市八雲林間劇場 しいの実シアター Yakumo Forest Theatre Shiinomi Theatre

 ⑦11:40ー11:55 北九州芸術劇場 Kitakyushu Performing Arts Center


■Part Ⅱ |コロナ禍を超えて ~新たな視点

      Beyond the pandemic crisis : A new perspective

14:10ー15:40 海外招聘パネリストによる基調講演 Keynote speech|同時通訳 (日英)

  14:10ー14:55 政府と劇場:コロナ後はどうなる? ヨーロッパの視点から

  Governments and Theatres: What is Next After Covid? A European View. 

        クサビエ・グレフ名誉教授 Prof. GREFFE, Xavier

       (パリ第一大学 University Paris I)

  

  14:55ー15:40 劇場、コンサートホール、文化センター:ドイツにおける日常生活及び都市発展の灯台/礎

        Theatres, Concert Halls and Socio-Cultural Centres

        Light Towers and Corner Stones of Urban Life and City Development in Germany

        クラウス・クンツマン名誉教授 Prof. KUNZMANN, Klaus R.

       (ドルトムント工科大学 Technical University of Dortmund)


15:40ー16:00 休憩 Break

16:00ー17:20 ラウンドテーブル Roundtable

       (including directors of collaborating theaters, advisory members and panelists)

       (協力劇場館長、アドバイザリー、協力研究者)

17:20ー17:30 クロージングリマークス Closing remarks









【関連ページ】


■国際シンポジウム2022

https://www.culture.grips.ac.jp/symp2022

■令和4年度 文化庁事業

https://www.culture.grips.ac.jp/project2020

■2017年度-2019年度 ハンドブック

https://www.culture.grips.ac.jp/handbook2019

2022年11月14日(月)座談会@松江市を開催いたしました。


フランスより、クサビエ・グレフ名誉教授(パリ第一大学)をお招きし、「第7回 松江・森の演劇祭(2022年11月5日-13日)」メイン会場でもあるしいの実シアターでの、現地開催を実現。「劇場の持つ文化力を次の世代につなげていくために、今、何をしたらよいのか」をテーマに、PARTIでは「Will Theatre survive in the digital age?: its timeless role」として、デジタル化の進展を踏まえつつ、改めてライブの価値、劇場が地域にとってどういう存在なのか、フランス、ヨーロッパでの事例紹介を交え、グレフ先生にお話いただきました。PartⅡでは、グレフ先生に加え、専門家、行政官、しいの実シアター館長からなるラウンドテーブルを開催。会場には近隣住民のみなさまをはじめ、県外からも多くの方にお運びいただき、盛況のうちに幕を閉じました。

 

オープニングリマークス 垣内 恵美子(GRIPS)

本事業ディレクター垣内名誉教授が開会のあいさつを述べ、全国における公立劇場について概説、しいの実シアターの特徴を整理しながら、本座談会の趣旨を説明いたしました。


「しいの実シアターでは昨日まで国際演劇祭が開催されていました。本学が実施した住民調査によると、松江市民の約8割を超える人々が、この演劇祭を異文化に触れる機会を提供し、松江を世界に発信する「世界への窓」として高く評価しています。劇場は、人々が集う身近にある大切な地域拠点ですが、チケット代だけで成り立つものではありません。だからこそ、地方自治体が設置し、運営を支えています。しいの実シアターも松江市立の劇場です」


ご挨拶 上定 昭仁氏(松江市長)

松江市長上定 昭仁氏より、ご挨拶をいただきました。

「しいの実シアターは、平成7年の公設民営演劇専用の劇場として誕生しました。平成11年より国際演劇祭が開催され、今年も9日間にわたって7回目の演劇祭が開催されました」と、劇場の誕生から森の演劇祭について触れ、開催期間中に足を運ばれた際のご感想をお話くださいました。



ラウンドテーブル PART1

Will Theatre survive in the digital age?: its timeless role

デジタル時代の劇場:時代を超えた役割|クサビエ・グレフ 氏(パリ第一大学 名誉教授)


PartⅠでは、「デジタル時代の劇場:時代を超えた役割」と題し、クサビエ・グレフ名誉教授による基調講演を行いました。一般的に、デジタル化によって、より多くの人々にそのサービスを提供できる可能性もあるとされます。優れた舞台芸術を守り、より良いものにするため、劇場がデジタル技術を活用することの可能性について言及しました。


<概要>

劇場は、最も古い芸術形態のひとつであり、視覚表現を介して、物語を語り、解釈することで、人々が互いに知りあい、よりよく理解しあい、また何か共通するものをつくる貴重な体験を提供する場でもあります。しかしながら、現在、劇場は危機に瀕しているともいえるでしょう。劇場運営には困難が伴い、(CDやDVDなどのように)デジタル化することで価格を下げられる他の芸術活動とは異なり、劇場は、機械化やデジタル化の恩恵受けることがなく、結果として、消費可能な分野との厳しい競争に晒されているのです。

 

劇場にはいくつものタイプがあり、ここでは、3つのタイプ「ブランド型劇場」「イベント型劇場」、そして地域の生活に根差した「地域劇場」とします。地域劇場は、特に農村部に位置する「ルーラルシアター」が象徴的に示すように、とりわけ存続の危機に瀕しています。多くは規模の小さな劇場だが、これらの劇場は、その革新性で危機に立ち向かい、地域コミュニティの活力の源として活動を継続しようとする意欲に満ち、様々な創造の場をつないで、住民参加のもとに新しい価値を創り出そうとしている。これらの劇場とデジタル化は相いれないものなのでしょうか。デジタル化は、一般的に、文化の(創造ではなく)消費を拡大し、人々を分断するものであると言われています。だが、このデジタル化は、劇場を窮地から救うことができるのではないでしょうか。一見、逆説的な問いだが、答えは興味深い。デジタル化により、誰もがアクターであり、かつ聴衆にもなりうるのです。この意味で、「第4の壁」(ドゥニ・ディドロの演劇論において、「観客と演技者との間にある目に見えない壁」をいう)を取り払うことができます。他方、デジタル化は、舞台芸術を新しい聴衆に届け、新しいテーマや作品を地域に関心を持つ住民とともに作り出すことに貢献できるかもしれません。さらに、デジタル化を進めることによって、劇場は対話の場となり、創造性をはぐくむ拠点となり、芸術以外の雇用や活動を地域に生み出す資源ともなりうる可能性も考えられるでしょう。



PART2 ラップアップ:劇場が地域社会にできること

登壇者:クサビエ・グレフ氏/園山 土筆氏/齋藤 讓一氏/松尾 純一氏

コーディネーター:垣内恵美子


ラウンドテーブルでは、国内外から専門家を交え、改めて地域に立脚する劇場の意義について、基調講演での指摘も踏まえながら、今後の方向性を探るべく意見交換を行いました。

しいの実シアター園山館長からは、しいの実シアターが具体的に松江市で展開されている事業についてご紹介いただき、その成果や課題、今後の展望などを共有しました。続き、舞台芸術制作に長年携わってきた斎藤先生からは、舞台芸術を巡る状況全般とともに、しいの実シアターの活動への思いを語っていただきました。12,13日は、齋藤先生、グレフ先生ともにしいの実シアターでの森の演劇祭に参加、舞台公演を拝見し、ボランティアやアーティストなど多くの方々との交流体験も踏まえてお話しいただき、また、市の文化政策推進の要である松尾部長から市の政策の概要や今後の展望、しいの実シアターに期待することなどをお話しいただきました。しいの実シアターは松江市立の劇場であり、設置者としての松江市では、現在文化振興のための条例、基本計画、さらに実施計画を策定、現在、文化力を生かしたまちづくりに向けて種まきの真っただ中です。それぞれのお立場から、これまでの取り組み、これからへの期待を込めたあつい思いを語らいました。


ご来場いただきましたみなさま、松江市のみなさま、あしぶえのみなさま、ありがとうございました。

 

ご参加のみなさまからお寄せいただいたコメントから、一部をご紹介します。

(当日配布した質問票にご記載いただいたもののうち、掲載可分のみ)

興味深く伺いました。企画実現までのご尽力に深謝。世界は一様ではなく常に創造の場に、つまり提供なさっているお立場の方ですが、今これから未来を見据えるだけのセンスと力量が問われています。ついついしいの実シアターと重ねがちになりましたが、これまでのままであってはならない。ヒトの社会は常に流動性を伴うものです。公共の政策をこの日本においてどう具現化するかー。提唱団体の発信に島根在住の者として注視したい。

今まであまり劇場に触れたことがなく、「劇場」という言葉もなんとなく遠い存在のように思っていました。そんな中で、こども家族で楽しめる「森の演劇祭」の取り組みは素晴らしいなと思いました。演劇が次第に「公共性」を持ちはじめた…というお話が特に印象的でした。

​地域課題や松江市の歴史を舞台にした演劇なら、多くの市民も楽しめるのではないでしょうか。共創のまちづくりの…題材ではないでしょうか。

​松江城授業のように、小学生が在学中に一度はあしぶえのワークショップに参加できるような授業プロジェクトを作ることで、演劇の裾野を広げられるし、児童ひとりひとりが「心のたべもの」を味わうことができます。劇場がある地域として、松江市ならではの取り組みにつながると思います。

​地域の発展、人々の心の豊かさを育むために劇場は必要不可欠だと思いますが、それを共有すること、継続していくことが大事だと考えます。そのためにどうすれば良いかをたくさんの人で考えていきたい(考えなければならない)と思います。特にこどもたちには小中一度ずつは演劇に触れてほしいです。

​<Part1>「劇場」というもの、その役割、現状、評価、可能性等について改めて考えるよい機会を与えられました。現実的、具体的に「しいの実シアター」に当てはめ、重ねて、思いを巡らせました。(スタンダードな良いお話でした)

<Part2>松江の「文化費」をアップするために、行政力も民間力にも課題が多いと思います。しいの実シアター(あしぶえ)の発展を祈るのみです。ありがとうございました。

日本には昔から神楽や農村歌舞伎、田楽などがあり、芝居や劇場は身近なものだったと思います。このような土壌をうまく活かしながら、新しい劇場との関わりや支援の仕方を考えていけると思います。

​劇場を地域の発展に役立てるという発想は素晴らしいと思った。

​こういった劇場に関するお話を聞くのは初めてでしたが、いろいろな立場の方が独自の視点から、各々の信念を持って活動されているのだと伝わりました。貴重なおは話を聞けて良かったです。ありがとうございました。

​地方?地域の方々と一体になり、共に盛り上げるしいの実シアターって素敵です。町屋?(読めず)主体となれば長続きもするでしょうし、町屋?とのウィンウィンも生まれますね。地元に好かれること大事ですね。

出雲弁での劇も見たいです。昨年雪女の出雲弁訳を見ることができまして、難しさもありましたが、雪女も出雲弁の深さも感じることができました。こどもたちに方言を伝えるためにも大事ではないかな?

​しいの実シアターは松江市にとって大切な財産であると感じていますが、まだまだ十分に生かしきれていないのではないかと思います。(認知度も含め…)こうやって考える場があることは大切だと思います。

​劇場・劇団があることは地域にとって貴重な資源であるという認識をより多くの人に持ってもらえるように、様々な機会を通じて積極的にPRしていくことが大切だと感じました。ひとつひとつの地道な活動を積み重ねて松江市の文化力向上につなげていく、次世代に引き継いでいくことが重要だとも強く感じました。

​初めてしいの実シアターに来ました。元気も良く紅葉がきれいでとてもいい場所にあるなぁと思いました。劇場の雰囲気も良く、今度は演劇を観に来てみたいと思います。市街から少し来ただけで、非日常が味わえました。

演劇というと小難しいイメージがあり、あまり観たことがありません。劇団四季は観ました。いわゆるエンターテインメントで素晴らしかったです。しいの実シアターのような小さな劇場は近くで演じる人を観られ、観客同士の一体感も感じられてると想像しました。せっかく近くにあるので、ぜひ小さな劇場ならではの手作り感や地域に密着した感じを味わってみたいです。

​演劇とは“心の食べ物”。演劇には種類があること、様々な時代により変化してきたことも分かりました。心が豊かに慣ればみんなが幸せになっていく、その通りだと実感。演劇祭のお手伝いのクルーとして一員として活動し、こどもたちも多く観劇されていて、希望を感じました。演劇、特にしいの実シアターは、生の声、息遣いを直接感じられて心に直接伝わり、あふれる想いを感じ、演劇ならではと思います。

民から宮へ。楽しい集いであること、大事なことだと思いました。「森」が大切であることがよく分かりました。

園山先生の話の中で、「演劇が人を育てる、心を育てる、心の栄養になる」と言われていました。知り合いの人との関わりがうまくできない子が、演劇祭を2回観劇。難聴でうまく聞き取りができないからと諦めていた人が無言語を観劇。足の悪い方が観劇。小さな劇場だからこそ地域の方を巻き込みできる良さを感じました。

新聞広告などでイベント案内をしてほしい。マーブルでイベント紹介したら如何?私はしいの実シアターの存在すら知りませんでした。

ご回答いただきまして、ありがとうございます。


(ラウンドテーブル前日の様子:左から、齋藤先生、上定市長、グレフ先生、垣内先生、園山理事長)

 

スピンオフ企画 

ラウンドテーブル@松江

​「劇場の未来を考える~課題解決型シアターマネジメント2022ー新たな視点ー」

 The future of theaters: Beyond the pandemic crisis


■日時  2022年11月14日(月)14:00-16:40

■会場  松江市八雲林間劇場しいの実シアター

    (島根県松江市八雲町平原 481-1)

■申込

 しいの実シアター(NPO法人あしぶえ)お電話でお申込ください。

 参加無料!(逐語通訳)

■タイムテーブル

 14:00-14:05 <オープニングリマークス> 垣内 恵美子(GRIPS)

 14:05-14:15 <ご挨拶> 上定 昭仁(松江市長)

 14:15-15:00 <ラウンドテーブル PART1>

 14:15―15:00 デジタル時代の劇場:時代を超えた役割|クサビエ・グレフ (パリ第一大学)

 15:00-15:40 <COFFEE BREAK>

 15:40-16:40 <PART2 ラップアップ:劇場が地域社会にできること>

      登壇者:クサビエ・グレフ/園山 土筆/齋藤 穣一/松尾 純一

      コーディネーター:垣内恵美子

       <クロージング・リマークス> 園山 土筆


【関連ページ】

座談会専用ページ https://www.culture.grips.ac.jp/matsue2022

第7回 松江・森の演劇祭 https://festival.ashibue.jp/




文化政策コース

特別セミナー2022文化を巡る政策最前線

各分野における専門家をお招きし、本学学生を対象に下記要領で特別セミナーを開催します。第88回は「景観法と景観まちづくりについて」と題し、専門家のお話をお伺いいたします。

 

【第88回 開催概要】 ■日 時  2022年12月 1日(木)18:20-19:50 ■会 場  Zoom ■講 師  田中良輔氏(国土交通省 都市局 公園緑地・景観課 景観・歴史文化環境整備室 課長補佐)

■題 目 「景観法と景観まちづくりについて」 ■内 容 

2004年に成立した景観法は、景観形成にかかわる規制法であり、良好な景観がアイデンティティや人々の生活の質、そして観光資源として地域経済にとっても重要性を持つようになった我が国の社会的潮流がその背景にある。

今回は、景観法制度のご担当者より、景観規制の概略と景観法の各制度をご紹介いただくとともに、事例を通じて現状と課題に関する認識の共有、考えられる今後の展開について考える。


【お申込みその他】

■参加費 無料

■言 語 日本語

■対 象 本講義受講生 他

■主 催 政策研究大学院公共政策プログラム文化政策コース 

     ディレクター・教授 垣内恵美子



#政策最前線 #文化政策 #セミナー

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