開催報告|特別セミナー2020|文化を巡る政策最前線(第68回)
文化政策コース
特別セミナー2020文化を巡る政策最前線
2020年 7月25日(土)は「アートへの入り口-東京都美術館、市民との協働-」として、東京都美術館より、学芸員 河野佑美氏にご登壇いただきました。
東京都美術館は、北九州の実業家佐藤慶太郎の寄付を契機に設立された日本初の公立美術館であり、その長い歴史の中で様々な役割を果たしてきました。2012年のリニューアル・オープンを機に、館の主軸事業の一つとして、アート・コミュニケーション事業を立ち上げ、市民との協働「とびらプロジェクト」、18歳までのこどもたちのミュージアム・スタートを応援する「Museum Start あいうえの」などを実施、芸術を通じて市民との間に新しい価値を生み出すことに注力しています。美術館が果たしうる新たな役割とは何か、最前線の状況についてお話を聞かせていただきました。
(画像提供:東京都美術館)
<受講者による感想>
2012 年のリニューアルを機に、すべての人に開かれた「アートへの入口」と しての美術館を目指す、東京都美術館の取組について伺いました。
人と人がアートを媒介にして意思疎通する。それにより、新たな魅力や楽し さを生み出していく。そうした「アート・コミュニケーション」の理念を、広 く一般から集まったアート・コミュニケータ「とびラー」を通じて、緩やかで 自発的なネットワークのもと、社会に届けていく。こうした取組に、地方自治 体の文化政策においても今後目指すべき、新たな方向性を感じ取ることができ ました。
特に、子どもや身体等に支援が必要な方々がアートに触れる機会を生み出す 取組を通じて、「人間が自然体のままに、どのような考えを持っていたとしても誰にも責められることなく安心できる、『多様な価値観が共存できるしなや かさを社会に与える場』としての美術館の本質的価値を守り伝えていきたい」 というお話に、優しさと力強さを感じました。
河野先生、貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。ぜひ、家族と一緒に「アートへの入口」に触れてみたいと思います。
(大杉昭吾|公共政策プログラム)
【第68回 開催概要】
■日 時 2020年7月25日(土)14:00-15:30
■会 場 ZOOM(オンライン講座)
■講 師 河野 佑美氏 (東京都美術館 アート・コミュニケーション係 学芸員)