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H29年度 文化庁大学を活用した文化芸術推進事業 シンポジウム・ワークショップ開催報告

「劇場の未来を考える-課題解決型シアターマネジメント2018」を開催いたしました。​

2018年3月5‐6日の二日間にわたり、政策研究大学院大学にて国際シンポジウム・ワークショップ「劇場の未来を考える-課題解決型シアターマネジメント2018」を開催いたしました。

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初日のシンポジウムでは、本事業協力研究者ソルボンヌ大学名誉教授クサビエ・グレフ先生、本事業アドバイザリー各氏による特別講演及びディスカッション、二日目のワークショップでは今年度協力劇場研修生によるプレゼンテーション及びディスカッションを実施いたしました。

【初日】国際シンポジウムによる基調講演

(ソルボンヌ大学名誉教授 クサビエ・グレフ「劇場に期待するもの:国際的な潮流から」)

本事業コーディネーターを務める垣内恵美子教授は講演にあたり「劇場に来ない人たちに何ができるか。劇場に来る人は全員ではない。来る人は限られている。これまでの研究からいうと、いろいろな価値を与えるということが明らかになっている」と延べ、国内における劇場を取り巻く環境について今日までの現状を概観しました。これまでの研究成果をふまえ、劇場価値における直接利用価値・間接利用価値を具体例を挙げて解説し、リピーター、ビジターに合わせサポーターにも注視し、入場者数だけでは判断できない部分についても掘り下げていく必要性を強調しました。

(ディレクター 垣内恵美子)

研究協力者、アドバイザリーの先生方には、各分野での専門的なテーマについてご講演いただきました。

林伸光氏は兵庫芸術文化センターでの実践例を紹介し、「つくる、つなぐ、ひろめる。観客、実演家、芸術と社会をつないでいく」とマーケティングの要点を解き、芸術家と市民が生き生きと交流する場を作る重要性についてお話くださいました。また齋藤穣一氏は、劇場の役割がまちづくり、ひとづくりにつながるという時代において、地域発のアートプロジェクト交流、育成が重要であるとし、「つながる劇場として、人が集まる新しい場所として、人材確保と育成が重要。地域ブランドの創生を図り地域連携を進めていきたいと考えています」と述べ、津村卓氏は「アートの歴史は原因と結果、挑戦と応答の繰り返しである」「未来を発見していくことがアートの持つ力といえる」とアートに対するご自身の見解を示したうえで、上田市交流文化芸術センターサントミューゼ及び北九州芸術劇場での取り組みをご紹介くださいました。

(3月5日シンポジウム集合写真)

【2日目】

研修生による各劇場紹介・プレゼンテーションを実施。

今年度協力劇場9館のうち、7館の研修生がご参加くださいました。

ワークショップにおいては、総括としてアドバイザリーの先生方に次のようなコメントを頂戴しました。

「たいへん興味深く聞かせていただきました。劇場が地域に出て行くこと、潜在的な観客を見つけることも大変重要で、ヨーロッパではそういった取り組みも積極的になされています。地域との連携、文化芸術における経験の共有を進める必要があるのかもしれません(グレフ)」「課題はたくさんあるかと思います。どこの財団も人が居るわけではないなあ、予算が減っているなあ、運営上というよりは資金的な問題なのかなあ、と思っています。目の前の課題をひとつひとつを解決していくことを進めていかれるといいかと思います。どの劇場もそれなりに活動しているとわかりました。いろんな劇場の連携交流を深めていくことも大事かと思います(斎藤)」「劇場経営の重要さを頭に入れるべきだと思います。お金だけではなく、地域の中にある劇場として、何をどう表現するのか。地域が向っている状況に劇場がどのように手を携えていくのかとそこが明確になっていかなければならないということを考えていただきたいと思います(津村)」「劇場の未来を考える、課題解決型、と、このタイトルはすごいタイトルで、課題解決型というのがすごいと思うんですよね。内容を深めていくためには、『べき』、こうやるべきだという議論をたくさんしていく必要があるのかなと改めて思いました(本杉)」「自分が館長ならこうすべき、ああするべき、と、出してみましょうよ。提案してみましょう。……ご自身のジャンル外のことも勉強して、劇場の総合力をつけていただければと思います(林)」

(3月6日ワークショップ終了後)

会場では、両日共に活発な議論がなされ、各劇場における課題発表、また積極的な情報交換を行える場となりました。今後、それぞれの課題に関するさらなる掘り下げを行い、個々の事例を拾い上げながら、あらたな劇場の在り方また劇場の未来について議論し、「社会の芸術ニーズを汲み上げて劇場活動に結び付け、その効果を社会に説明できる能力」を持つ次世代リーダーを育成するためのプログラムづくりに役立てたいと考えます。

研修生また関係者の皆様には、お忙しい中お運びいただき誠にありがとうございました。

引き続き、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

開 催 概 要

■日時 3月5日(月)-6日(火) ■会場 政策研究大学院大学 研究会室4A 【プログラム】 3月5日(月)|シンポジウム 14:30‐17:30 (14:00 受付) 14:30‐15:20 クサビエ・グレフ「劇場に期待するもの:国際的な潮流から」(50分:通訳付) (15:20-15:55 |コーヒーブレイク) 15:55-16:10 垣内恵美子「劇場の社会的価値:来ない人たちに何ができるのか」 16:10-16:25 林伸光「チケットを売り切る:マーケティングで社会とつながる」 16:25-16:40 斎藤譲一「つながる劇場:地域連携、劇場連携を考える」 16:40-16:55 津村卓「想像そして創造から広がる事業:アートの力」 17:00-17:20 ディスカッション(全体) 17:20-17:30 クロージングリマーク(垣内) 3月6日(火)|ワークショップ 10:30‐14:30 各劇場による発表(各20分) 10:30- 上田市交流文化芸術センターサントミューゼ 10:55- 北上市文化交流センターさくらホール 11:20- 北九州芸術劇場 11:45- 彩の国さいたま芸術劇場 (12:00-13:00|休憩) 13:00- ロームシアター京都 13:25- 神戸文化ホール 13:50- 札幌コンサートホールKitara

​(平成29年度 文化庁 大学を活用した文化芸術推進事業)

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