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「劇場の未来を考える-課題解決型シアターマネジメント2019-」開催報告(その1)

February 21, 2019

 

2019年2月20日、21日の二日間にわたり、本学にて「劇場の未来を考える-課題解決型シアターマネジメント2019-」シンポジウム・ワークショップを開催いたしました。会場には第一期協力劇場及び第二期協力劇場からの研修生、関係者のみなさまをお迎えし、研究協力者クサビエ・グレフ教授他、本事業アドバイザリー陣との意見交換を行いました。

 

先ずは、初日の様子をご報告いたします。


基調講演 
 クサビエ・グレフ「Culture and Local Development Focusing on Theaters as Regional Centers?」

(クサビエ・グレフ名誉教授|パリ第一大学パンテオン-ソルボンヌ)

 

グレフ教授は、基調講演「Culture and Local Development : Focusing on Theaters as Regional Centers?」において、地方における劇場の役割について、ヨーロッパを中心とした世界の潮流をご紹介くださいました。文化の経済効果について前置きをしたのち、文化的体験は、文化施設の中に留まるだけではなく、例えば、病院や高齢者施設など他機関との連携を通して別の場所に広がることが重要であるとし、文化を社会包摂性につなげることへの取り組みなどに関する幾つかの事例に基づき、観客創出についての課題を指摘しました。そこでは、(劇場は)地域における特定の人々のみを対象とするのではなく、潜在的な観客層へのはたらきかけが不可欠であり、劇場に来ない人々に劇場が何をやっているかを知ってもらうこと、そのためには、テクノロジーの活用も有効であることなどをメトロポリタンやシルクドソレイユの例から紐解きました。合わせて、劇場が文化の発信拠点であることを踏まえながら、劇場と自治体との関わりにおける「官―官」のパートナーシップの重要性にも触れ、医療や福祉とも連携しながら、分野を超えた貢献を果たすことも求められる時代になってきたと結びました。

 

講演の中では「初音ミク」「歌舞伎」なども日本における事例として挙がり、また自治体からの支援、資金調達に関する具体的な課題や劇場の二極化についての言及もあり、研修生をはじめ、アドバイザリーの先生方にも大きく頷く場面が見られました。劇場が多様であることは周知の通りですが、大きな流れとしては、日本もヨーロッパも類似する課題に直面していることが明らかとなり、同時に、劇場の持つ可能性、文化の力というものについて深く考える契機になったのではないかと感じます。殊、潜在的観客層である「ノンオーディエンス」へのはたらきかけについては、参加者からも高い関心が寄せられたようで、のちの議論においても度々話題に上りました。

 

研究報告 
 垣内恵美子「劇場の社会的価値:インターネット全国調査の結果から」

 

ディレクター垣内教授は、2018年9月実施インターネット調査についてその概要と結果の一部を紹介。本事業協力劇場及び参照劇場全30施設を対象とした調査結果から、劇場毎の認知度・訪問度・リピート率などをエリア別に分析・発表いたしました。今回は、第一期協力劇場のうち本シンポジウム参加劇場及びその地域(岩手県北上市、長野県上田市、埼玉県さいたま市、福岡県北九州市・福岡市)について取り上げ、それぞれの劇場の特徴を述べ、多くの公立劇場が地域密着型であることを明らかにしたうえで、今後取り組むべき課題について概説。要点として、劇場によって個別性が高いこと、劇場の活動は基本的には地域密着であること、また地域にどのように貢献できるかが重要であると総括しました。

 

(ディレクター・教授 垣内恵美子|政策研究大学院大学) 

 

パネルディスカッション

第一部「自治体との関係性の構築」

第二部「観客創出とまちづくり」
 本杉省三|日本大学 特任教授
 林伸光|兵庫県立芸術文化センター ゼネラルマネージャー
 斎藤譲一|(一社)日本劇場技術者連盟 理事長
 津村卓|(一財)地域創造 プロデューサー/北九州芸術劇場 顧問/上田市交流文化芸術センター 館長兼プロデューサー

 

パネルディスカッションでは、第一期協力劇場より、第一部には北上市文化交流センター さくらホール、上田市交流文化芸術センター サントミューゼ、第二部には彩の国さいたま芸術劇場、北九州芸術劇場から研修生が登壇、各劇場での事例を踏まえ、それぞれのテーマについて議論を行いました。

 

さくらホール 菅原氏は、地域の魅力づくりとしての劇場の役割についても述べ、市民に寄り添うさくらホール独自の在り方を紹介、サントミューゼ 掛川氏は(行政には)芸術を活かそうという発想はないため自ら働きかけていくことが必要だろうと述べたうえで、行政における分野を超えた連携などの事例をご紹介くださいました。これらを受け、アドバイザリー林氏は「劇場と行政、自治体との関係性は、市民との関係性というところに煎じ詰めていけるのではないかと思う」と示し、本杉氏は「建築としての施設は老朽化し、年と共に右肩下がりになるが、みなさんが仕事をしていらっしゃる活動としての施設は、右上がりに発展する可能性がある」とし、両市の特性を「劇場の魅力を高めることで市民を味方につけていく」ことなどについて述べました。

 

また、さいたま芸術劇場 前田氏は、劇場の歴史を振り返りながら観客創出についての現状について述べ、北九州芸術劇場 龍氏は劇場のミッションについてご紹介くださいました。立地や成り立ちの異なる劇場において観客創出の手法はさまざまであることから、アドバイザリー津村氏は「どういう風に地域、地域で戦略を打つのかは、北九州芸術劇場をやっていくうえで学びました」と、その経験を語る中で「劇場には来ないが、うちのまちに劇場があってよかったねというサイレントパトロン的な人もいると思う。地域の中に劇場があることを喜んでくださる方をつくることが必要になるかと思います」と述べ、林氏はグレフ教授の講演にもあった「レッドオーシャン」「ブルーオーシャン」としての観客層の取り込みについて兵庫県立芸術文化センターの例を紹介しつつ、非観客の重要性を強調しました。全体をみること、仕掛けをつくることなど、専門家同士の的確な論及もあり、活発なディスカッションとなりました。

 

今回は、昨年度同様に研修生及び関係者を中心としたクローズドセッションであったことから、忌憚のない意見も飛び交う充実した時間になったのではないでしょうか。お忙しいところお越しいただきましたみなさま、誠にありがとうございました。

 

二日目の様子は、また改めてご報告させていただきます。

 

 

「劇場の未来を考える-課題解決型シアターマネジメント2019-」

 
【日時】

 平成31年 2月20日(水)14:00-17:00

 平成31年 2月21日(木)10:00-13:00 

 

【会場】

 政策研究大学院大学 4階 研究会室4A

 

【講演】

■基調講演 

 クサビエ・グレフ「Culture and Local Development : Focusing on Theaters as Regional Centers?」
■研究報告 

 垣内恵美子「劇場の社会的価値:インターネット全国調査の結果から」

 

【パネルディスカッション】

■テーマ 「自治体との関係性の構築」「観客創出と地域連携」
 本杉省三|日本大学 特任教授
 林伸光|兵庫県立芸術文化センター ゼネラルマネージャー
 斎藤譲一|(一社)日本劇場技術者連盟 理事長
 津村卓|(一財)地域創造 プロデューサー/北九州芸術劇場 顧問/上田市交流文化芸術センター 館長兼プロデューサー

 

【協力劇場】

■第一期

 札幌コンサートホールKitara(公益財団法人札幌市芸術文化財団)

 北上市文化交流センター さくらホール(一般財団法人北上市文化創造)

 彩の国さいたま芸術劇場(公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団)

 まつもと市民芸術館

 上田市交流文化芸術センター サントミューゼ

 ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)

 神戸文化ホール(公益財団法人神戸市民文化振興財団)

 北九州芸術劇場(公益財団法人北九州市芸術文化振興財団)

 博多座(株式会社博多座)

■第二期

 神奈川県民ホール(公益財団法人神奈川芸術文化財団)

 ミューザ川崎シンフォニーホール(公益財団法人川崎市文化財団)

 新潟市民芸術文化会館 りゅーとぴあ(公益財団法人新潟市芸術文化振興財団)

 穂の国とよはし芸術劇場PLAT(公益財団法人豊橋文化振興財団)

 知立市文化会館 パティオ池鯉鮒(一般財団法人ちりゅう芸術創造協会)
 森の劇場 しいの実シアター(NPO法人あしぶえ)
 南城市文化センター・シュガーホール

 

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