特別セミナー2019/文化を巡る政策最前線(第61回)開催報告
文化政策コース
特別セミナー2019 文化を巡る政策最前線
2019年6月6日、文化庁文化資源活用課整備活用部門 稲垣氏をお招きし、特別セミナー(第61回)「文化財建造物の保存と活用~修理と防災の観点から」を開催いたしました。
<受講者による感想>
■「文化政策研究の基礎」特別セミナー2019 コメント
文化庁の稲垣氏は、文化財保護法第一条を引用しながら、文化財の保護とは、単に文化財を「保存」することだけではなく、その「活用」を図ることと一体となった考え方であることを強調されました。その上で、文化財建造物に焦点を当て、文化財調査官として、いかにして適切な修理を施しながら、文化財の価値を保ち、次世代につないでいく努力をしているか、また、いかにして防災等に対する対策を強化することで安全、安心な公開活用のための環境を整備しているかについて、詳細に説明いただきました。建造物の柱の一部が痛んでいる場合、文化財修理では、宮大工さんは全体を新しい材木に取り替えるのではなく、ぎりぎりまで使える部分は残して接木を行うとのこと。しっかりと日本の伝統文化、技が受け継がれています。
近年、観光やまちづくりなどのため文化財の社会的、経済的価値が注目されるようになってきていますが、稲垣氏は日々、多くの現場に向き合う中で、適切な管理の下、より積極的に活用を進めるために最善の方法は何か常に考え、判断やアドバイスを行っているとおっしゃっていました。稲垣さんに強い職人気質、プロフェッショナリズムを感じました。お忙しい中、ご講義いただき、ありがとうございました。
(文化政策コースM1 小島寛之)


【第61回 開催概要】
■日 時 2018年 6月6日(月)18:30-20:00
■会 場 政策研究大学院大学 C813(東京都港区六本木7-22-1)
■講 師 稲垣 智也 氏(文化庁文化資源活用課整備活用部門)
■題 目「文化財建造物の保存と活用~修理と防災の観点から」
■内 容 急速に変化する社会経済状況の中、文化財は心の豊かさをもたらす貴重な遺産としてだけでなく、地域経済や観光などの産業に貢献する資源として期待されるようになりました。しかし、文化財は一度失われるとその価値を取り戻すことは難しく、近年多発する自然災害とともに、高齢化や人口減少といった文化財を支える地域の疲弊にも直面しています。今回は、文化財建造物の修理と防災に焦点を当てながら、国の政策だけでなく現場の視点も踏まえつつ、実効性のある文化財継承の在り方を探ります。
■主催 政策研究大学院公共政策プログラム文化政策コース ディレクター・教授 垣内恵美子