在学生・修了生の声 シリーズ①

公共政策プログラム文化政策コースでは、さまざまなバックグラウンドをもつ方々が学びを深めています。


自治体からの派遣職員をはじめ、現職として活躍する大学教員、専門職に携わる方、またこれまでの経験をふまえ、さらに見識を広げるために、と、門を叩いてくださる方もすくなくありません。本シリーズでは、学生の声、さまざまな場所で活躍される修了生の声を、お届けいたします。

 

濱永 清隆さん放送プロデューサー・アナウンサー 

公共政策プログラム文化政策コース  2022年4月修士課程入学

放送業界において、ながくコンテンツの企画制作、放映など多様な経験を積み、業界の現場から総括に至るまで、豊富な知見をもつ、濱永さん。放送局に勤務しながら、フリーランスのコンサルタントとしても、公立、民間の劇場、団体、フェスティバルなどを支えてきたというご経歴をもちます。第二の人生として、GRIPSへ入学されたそのいきさつをお伺いしました。


フリーランスとして活躍しながら

還暦を迎えたら、雇用延長などせず海外移住をしたいと、毎年のように候補の街に旅をしていました。そう、2020年以前は……


やがて、コロナ禍の最中、リタイヤメントを果たし、さて、日本を出られるのは何年後のことになるのだろう、と途方に暮れていたところ、その舳先がアカデミズムに向かうことになったのは、いくつかの偶然とGRIPSの温かい先生方のおかげなのですが、「次」を模索する中で、こんな話を聞いたのです。「日本の中小企業は不況の時に技術が伸びる、だから生き残りができる」。好況の時は手を動かし、景気が落ちると手を止めて新しい技術を考える。なるほど、新しい何かを作るには今が好機であるのかもしれない、と。


当時勤務していた放送局でも、リモートワーク向けの企画をいくつも作る一方、これまで主催・後援等で年間300以上のステージをサポートしていたものが一桁に落ち込むなど、コロナ禍の影響は小さくありませんでした。見渡せば、音楽・舞台で活躍していた仲間には、仕事に行き詰まった方もあり、胸も痛みます。そういった状況のなかで、これを研究・学びで解決できないだろうか、と考えるようになっていきました。

リタイヤメントのない分野で

日本は仕事と学びを行ったり来たりする習慣も少ないからか、周りには「もう働かないの?」とけしかけられ、ひどいのになると「ボケ防止?」などと言われる始末ですが、とんでもない。老け込むには、この学舎は、刺激が強すぎます。


たとえば、文化の最大のパトロンである自治体などの「公」が、痛んでしまった身体表現芸術を、そしてその器としての劇場をどう再構築するのか。政策と私たち演者側との新しい関係をいかに模索するか。そのヒントにも溢れています。芸事の世界では「五十・六十ハナタレ小僧」という言葉があります。そう、文化の世界にも知の宇宙にも、リタイヤメントなど存在しないのです。


文化政策を研究できる数少ない場所であるGRIPSで学ぶことは、これまで関わってきた仕事の棚卸しであり、次代をはかるレーダーを与えてもらったようなものかもしれません。新しい座組み・実効性のある提言、それらを得るための研究を行いたいという気持ちで、文化政策コースの門を叩きました。唯一無二のカリキュラムも、これから楽しみにしています。

 

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