在学生・修了生の声 シリーズ②

公共政策プログラム文化政策コースでは、さまざまなバックグラウンドをもつ方々が学びを深めています。


自治体からの派遣職員をはじめ、現職として活躍する大学教員、専門職に携わる方、またこれまでの経験をふまえ、さらに見識を広げるために、と、門を叩いてくださる方もすくなくありません。本シリーズでは、学生の声、さまざまな場所で活躍される修了生の声を、お届けいたします。

 

稲川由佳 さん

文化政策プログラム  2012年4月修士課程入学

オーケストラと音楽教育にご関心をもち、文化政策に辿りついた、稲川さん。長きにわたる海外生活を経、帰国後に、再び学問の道へ。修了後には、ご自身の地元で社会教育委員をつとめ、また大学において非常勤で教鞭をとるなど、ご活躍の場を広げていらっしゃいます。ご入学の経緯や、GRIPSでの学び、そこからうまれた社会とのつながりについて、お伺いしました。


GRIPSへの入学

私は、文化政策プログラム(2年間2012-2014)で修士課程を修めました。


結婚後、11年にわたりアメリカで生活、帰国したのち、子育てがひと段落したことを機に、学び直しを決めました。バロック音楽が好きで、好きが高じて、その先を見てみたくなったのかもしれません。またアメリカ在住中には、メトロポリタン美術館やカーネギーホールなどの会員にもなり、現地の寄付制度や美術館などの教育システムにも面白みを感じていましたので、それらを学びたく、まず大学の音楽学部への入学にチャレンジしました。


学部では、西洋音楽史なども学びながら、東京都墨田区のすみだトリフォニーホールをフランチャイズしている新日本フィルハーモニー交響楽団のアートマネジメント(特に地域へのアウトリーチ)について研究しました。しかし、当時はカウンターパーティとなる墨田区の文化政策については知る由もありませんでした。学びを進めるうちに民間の自主運営であるオーケストラと日本で初めてフランチャイズ提携をした基礎自治体(墨田区)の文化政策はどのようなものなのか、また日本国内、海外の自治体における文化政策の作成過程などに興味を持つようになり、文化を含め、幅広く公共政策について研究できるGRIPSへの入学を志しました。


すみだトリフォニーホールでの音楽体感プログラム

墨田区公立小学校での音楽授業/地域の会館でのミニコンサート/墨田区文化振興財団ヒアリング)


GRIPSでの学び

本プログラムでは、文化政策研究の基礎をはじめ、博物館工学、劇場マネジメント等文化に関わる分野は勿論のこと、行政法の基礎、政策マネジメント、地域コミュニティ創造と教育についてなど、第一線の先生方から、広く学ぶことができました。私は、個人として入学しましたが、同級生は、皆、現役で行政に携わっている方々ばかりで、それぞれの立場で政策に対する考え方を議論するような機会も多々ありました。大変刺激のある2年間だったと思います。彼らとは今でも時々会い、現在の仕事やプライベートについても情報交換をしています。


地元へ貢献! 審議会&大学で教鞭を取ることに

「文化と教育は車の両輪」といいますが、文化を守り育てていくには教育は欠かせません。また文化があってこそ人が育まれていくことは常あり、社会教育においても、文化との関わりは切り離せません。そのようなことを考えていた折、2014年には神奈川県藤沢市の審議会の一つである社会教育委員会議の委員を務めるようになりました。


また2017年度から2021年度まで、地元神奈川県の私立大学において「ボランティア論」の講師を勤めました。専門外ではありましたが、社会教育、文化政策との親和性があるとご依頼をいただき、お引き受けしたものです。いまや、ボランティアは公共文化施設運営の重要な担い手となっています。文化を支えるボランティア活動について、また行政と市民活動の関連や政策が与える影響についてなど、多岐に亘り学生たちと共に検討しました。将来の文化や教育を支えていく学生と議論し共有できたことは、私にとっても楽しく、刺激となりました。ここでもGRIPSで学んだ政策研究の考え方が礎になっています。


GRIPSでの経験とこれから

修士論文執筆中、垣内恵美子先生からは、課題に向き合う姿勢をご指導いただいたと思っています。結論に至ったとしても、果たしてそれだけで良いのか、他に見落としていることはないか、もっと多面的にみる必要はないのか、課題に対して俯瞰的に見ることを学びました。審議会において行政への提言を議論する際も、その姿勢を忘れないように努めています。文化政策プログラムでの時間は大変たのしいものでした。友人たちとの出会い、深く(といっても未だ浅薄ですが)考察する姿勢などGRIPSで学んだことはたくさんあります。その経験に立って、今後も更に文化と教育に携わっていきたいと考えています。

 

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