開催報告|特別セミナー2021|文化を巡る政策最前線(第74回)
文化政策コース
特別セミナー2021文化を巡る政策最前線
文化政策コースでは、各分野における専門家をお招きし、本学学生を対象に下記要領で特別セミナーを開催しています。第74回は「都市は文化(アート)でよみがえる」をテーマに大林組会長大林 剛郎氏にお話をお伺いいたしました。
<受講者による感想>
大林先生には、ご自身がアートと関わられてきた道のりから始まり、文化を使ったまちづくりや誘客事業まで広く展開する参考になる要素のあふれるご講義をいただきました。また、私たちからの質問に対しても丁寧にご対応くださり、まちづくりと文化の関係性への理解が深まりました。
「一見特徴的に見える芸術祭やアートフェアも『うちでの小槌』のように捉え、どの地域でもやってしまえば、結局均一化してしまう」と言う問題提起から入り、文化の価値と経済性のバランスをとりながら目指す目標を定め、地域に根ざす文化と新しいモノと組み合わせて、わかりやすく、そして洗練させて提供することを通して他にはない独自さを表現していくことの大切さを伝えていただきました。この際、「日本食にこだわるのではなく、地元の食材を使ったイタリアン」という表現は、新と旧のバランスつかむ上で、とてもわかりやすい表現でした。
また、講義をとおして、文化政策には「新しいものを取り込みながら継続し続ける地域としての揺るぎなさ」が必要であり、地域住民にコンセプトづくりから事業の実施まで主体的な参加をしてもらい、地域への愛着と新しい文化への考え方とを融合させ、住民の意識に根付く「活きた長期ビジョン」を育てていくことの重要性を感じました。
とても貴重な機会をいただきありがとうございます。
この学びを活かし、長野市が更なる魅力を持ったまちへと発展するよう取り組みます。
(科学技術イノベーション政策プログラム 小林 清一|長野市役所)

【第74回 開催概要】 ■日 時 2021年 6月 17日(木)18:30-20:00 ■会 場 Zoom ■講 師 大林 剛郎 氏(株式会社大林組 代表取締役会長)
■題 目 「都市は文化(アート)でよみがえる」 ■内 容
今日、都市再生において、文化(アート)の役割に大きな注目が集まっている。フェスティバルや旗艦施設などの誘客力への期待も大きい。しかしながら、アートは一過性のイベント、あるいは地域と切り離された存在ではなく、生活の中に組み込まれ、人々の日々の暮らしから生まれてくるものでもある。そして、アートをはぐくむ試みには文化に関わる人々だけでなく、各分野のリーダーを巻き込みながら、国内外で多くの努力がはらわれてきた。本セミナーでは、日本を代表する企業トップであり、アートコレクターとしても著名な大林 剛郎 氏(株式会社大林組 代表取締役会長)を招いて、豊富な事例紹介を踏まえつつ、アートと都市の関係について議論する。